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腹が痛いことを伝えると、ちゃあんと薬がもらえた。入院して唯一の利点が、診察がタダ。売店に行く。全てのペットボトル・お菓子が2割増し。ボールペンも120円だったが、思い通りのペン先でうれしい。

『ようこそ、わが家へ』というよりか池井戸潤。ほぼ半沢直樹。半沢と不審者事件が並行して進む半沢だった。でも、なんかスっとする読み終わり。だけど想いが全然残らない。逆にすごくないか。

『どうしても生きてる』の「置かれた場所で咲きなさい」の先に来た。置かれた場所で枯れたらどうすればいいのか。話す相手はいない。接ぎ木をするのか、種をまくのか、諦めて枯れるか、根っこからもぎ取られるか。咲けるだけいいんだよな。

気づけば昼寝しないで4日ほどたった。車、運転してギリいいかな、そんなくらい。多分、はっきり運転できるくらいが退院のメドだろうか。そんなものは関係なく、12月の末まで入院して、同額でより長く入院しよう。オレはケチなのだ。
夜も早く寝ないように、『エア・ギア』が思ったよりオサレエッチな漫画だが、自分が思ったより、オレは靴が好き、ということを合わせると楽しく読めると思う。

痔はまだマシになってきた、気がする。それよりも布団と普段の服から、いわゆるしみったれた臭いがし始めるのが気になる。5日くらいたつとする。不思議だが慣れる。あと、売店で買った「クラフトボス ダブルラテ」、やっぱり薄い。クラフトボスはもうホントに、信じない。


頼もしい、一歩。

今日もふて寝。陰のう湿疹がかゆい。けど、明日シャワーすればよくなりそうだからいいことにする。ケツ穴の違和感がマシになったけど、腹はイマイチ。夕食後に痛んで、硬い便の後に下痢。とりあえず温めておくためにベッドで過ごす。


『恋とそれとあと全部』The・小説、といった作品。10作目にして入門のような読みやすさ。2人とも、自分の気持ちに結論は出ないのだけど、付き合う、という選択をする青さ。自分を振り返ると、青いまま結婚してしまったのではないか。それをいい悪いではなく、受け止めて、進んだり戻ったりしていけばいい。
『腹を割ったら血が出るだけさ』のレビューを見ていた。樹里亜も茜寧も、表と裏を受け入れる出来事が文の最後にあり、それがカタルシスにつながっていることは間違いない。自分はどうなのだろうと考える。ずっと茜寧のような気持ちでここまで過ごしてきている。今、ストップしていること、仕事を辞めようとしていること。これが表と裏を合わせることになるだろうという期待と、諦めが同時にある。なぜか、変わらないだろうという気持ちが行う前にもうある。ただ、ペルソナをたくさん付けかえる必要は絶対に減り、気持ちは楽になるだろう予感はする。あーどんどん辞めたくなってきた。単に再起できるのか、という話ではなくて、人生の必要な選択として必要な気がする。留まることもまた、後退であるので。


頼もしい、一歩。

今日で入院して3週目に入る。体は変わらない。今、すでに眠気レベルが高い。
『マチネの終わりに』を読み終わった。人と人との関わりは、作り物の上でもどうなるか分からない。「過去は未来によって変わる、繊細なもの」という蒔野の価値観が、底に流れ続けているように感じた。病気もスランプも、大成功も達成したことも、後の意味づけによっていくらでもよくなったり悪くなったりする。だから、アドラーは「今を生きろ」と言った。でも、今を生きるパワーはどこからもらうのか。自分から湧き出てくるのか、どうするといいんだろう。

便が硬くなった。マグミット錠を2錠にするといいのかな。いぼ痔みたいなのがケツ穴から飛び出していて、そのせいか腹が痛い時間が長かった。

『腹を割ったら血が出るだけさ』が、面白いところになってきた。自分の「愛されたい」の機嫌をうかがって行動を決めている、すごい主人公だ。そしてそれのために犠牲をいとわないのも、とても共感できる。共感していいのか分からないけど。入院のおかげでためらいなく本を読める。もし家だったら、子どもと料理とゲームとスマホで絶対にやってなかった。

普通は就活の時に向き合うべき、自分の職業適性に、今が向き合うべき時なのかな。でも、つべこべ言わず、すべきだとも思っている。


頼もしい、一歩。

『マチネの終わりに』、これがどんな終わり方をするのかが気になり、ナンプレができなかった。何かをやりとげ、相手を思いやる、だからこそのすれ違いがなんとも言えず、アツい。ただ、2人のスランプの感じが今の自分と重なって、興味深かった。蒔野は、ギターに飽きてしまった、高みがあるはずだが、道を逸れているような感じ、洋子は、ハメを外したくなる、安定を捨ててしまいたくなる時期、そんな言葉で画かれた。

アドラーは、病気を「何か目的があって生まれるもの」と言い切った。結婚か、子どもか、仕事か、カネか、友達か、家か、、、ステータスを見れば、よくここまでうまくいった、と感じざるを得ない。もちろん削ったものもあり、それは今のところ友達と家だ。その次に削るのは、おれは仕事だと思う。これが一番とりかえしがつき、尚且つ手放すか悩んできたものだ。

人生は面白い。順調に欲しいものが手に入ったあと、それに飽きてしまうのだから。一年前は、失敗してやろう、という気持ちで復職した。でも多分、そこじゃない、人の気持ちを自分の中で支えきれなくなるんじゃないか。そういう意味では、何十人もの人の想いを背負う前の仕事はよくないんだろうな。と、これも逃げの口実ではある。そもそも、なんでこの仕事を選んだのだろう。原体験も何もない、なのに想いだけは強くて、それを持てあましているようだ。元の仕事に戻る理由を見つけられなかった時に、本当に足を洗えばいい。


頼もしい、一歩。

体感的に一番の不調を味わった。スマホで何を伝えるか考え、4ヶ月先まで想像の中で旅行をして午前が終わった。締め切りや約束を守るというようなレベルではないのだ。基本は寝る、なのだ。

午後の半分は寝て、半分は『くもを探す』を読んだ。少なくとも自分にとっては、今の仕事はそうとうに自分を殺し続けていることなのだろう、とひしひしと感じる。だってのにこのうつというものは、やる気そのものが失せるのだ。「ひたすら弱い身体の、ボスはわたしだ」という言葉を借りるなら、「ひたすら強い身体だが、すべての判断ができない下っぱだ」。これがまともな状態なわけがない。だが、休んでるし、入院している。おれよ、よかったな。入院できて。

前もそうだが、おカネのことが特に気になる。最高1万円分のミス、示談にしてもらえるに決まっている。みんな、どうでもいいよと思いながら、前年度収支決済を見ているではないか。言われたら返す。未来のことを考える必要はない。今、未来のことを考える必要があるとすれば、これから先、1ヶ月分必要なメシが全部目の前にある、と思えばいい。そんなこと考えても考えなくてもいっしょ。ムダだ。

西さんの本で「なぎさ」を書いた人が亡くなっていることがわかった。それと知らずに読み、心を打たれ、それを知り、なんとなくショックだった。何にしろ、作品がそこにあるのは変わらないのに、どこか遠くへ行って、さわれなくなった気がする。もともと、さわろうともしてなかったのに。なんとなく、惜しい。


頼もしい、一歩。


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